■読み下し文
「イヤモウ、世の中に、一人も
のほどつまらねへ
ものはねへ。ヲヤ、
午時(ここのつ)が
して、とりが鳴く。あれも
雌鳥すぎて、雄鶏の
時を告ぐるのだ。おいらは
住める雌鳥がないから、
雄鶏ばかりで時を
告ぐらふか。イヤ、時を告ぐる
よりは、はらを作ってきた▲
らかれがらずと
出掛けやう。
▲△○→段落の繋がり方を示す記号
*→判別できない文字
■大江戸瓦版■
江戸独身事情について
江戸は各藩の武士や職人・商人が集中する完全な男社会で、独身者がごろごろしていた。武士の次男、三男ともなればいい養子の口があれば飛びついたものである。一生部屋住みとして、跡取りである長男の世話になるのはつらいものだった。
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