新板世界最強双六蒐集家飛廻取材寿語録

■ 現代の双六は100年後に必ず価値が出る

先生は、元旦の地方紙を全国から集め、双六特集などを発見される度量をなさっています。何故そこまで意欲的に蒐集されるのですか?

「双六の展示会用の作品を学芸員の方から求められることがよくあります。たいてい江戸時代〜昭和の戦前までの双六を要望されます。当然協力しますが、『現代の双六もとても面白いですよ。是非見てください』と言っても、学芸員は全く関心を示さない。 彼らは、双六を浮世絵的な美術品や昔の時代を表す資料としてしか見ていないわけです。

 双六は現代ものもとっても面白い。平成13年は、年間で80枚以上の双六が発行されており、前年よりも増えています。キャラクターが大流行しているからでしょう。『どらえもん』も『ポケモン』も『モー娘』もある。現代文化そのものですよ。これらの現代双六は、100年後に必ず価値が出ます。皆がこの時代を知りたがるはずです。江戸時代の双六は、誰でも大切にしますが、これらの現代ものは、私が集めなければ雲散霧消するのは明らかです。間違いありません。そんな悲壮な決意で現代双六を蒐集しています。」

・・・脱帽。先生は現代双六については、手に入る限り2枚蒐集して保存に備えておられます。世界遺産の守護仏にふさわしい周到さです。今回「翔奉庵」と「築地双六館」とで、現代双六保護同盟を締結しました(ちょっと大袈裟!)。双方が取得した双六をできるだけ提供し合うという互助の精神の条約です。これを翔築(しょうちく)条約といいます。(受験生諸君、ここんとこ、日本史の試験に出るよ!)


珍しい双六「鉄人28号の双六原画」

珍しい「ジャングル大帝レオの双六原画」

*「ふり出し」、「上がり」「各コマ」の文字入れが未完成の双六の原画

■双六蒐集は、人的ネットワークから

 先生は、5300枚もの双六を、どのように集められたのですか。私(筆者)が、6年かけて150枚ですから、先生と同枚数を集めようと思ったら、212年もかかってしまいますがな。

「あのね、吉田さん。一人じゃダメなの。私の場合、先ず病院の患者さんがいます。そして、双六を通じて知り合った多くの人たちがいます。家族も協力してくれます。皆が双六をくれたり、情報を提供してくれます。これらに律儀に対応するんですな。人的ネットワークが大切ですよ。以前は、古書店や古書入札会にもよく顔を出しました。東京の「原書房」や「時代屋書店」にもよく行きました。また、「夏目書房」「木内書店」とも古いつきあいがあります。40年も集めておれば、双六の方から飛び込んできますよ。ハハハ。」

・・・人的ネットワークの真中には、先生の人徳が鎮座ましましておられるわけです。この辺、築地のおじさんは、まだまだ、かないまへんなあ!

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