新板世界最強双六蒐集家飛廻取材寿語録

■ 江戸時代の双六は大人の鑑賞用

 絵双六といえば、子供の遊び道具と思われるでしょう。その通りですが、昔からそうでしょうか。江戸時代でも子供が遊んだのでしょうか。

「江戸時代の絵双六は、子供の遊びではなかったのではないでしょうか。大人の鑑賞に堪えうるエンターテイメントだったと思います。つまり、遊ぶものではなく、じっくりと眺め、また読むものだったのでしょう。その理由は、4つあります。

1)当時の絵双六は、名のある浮世絵師の作った専用の袋に入って売られていることもあり、値段も高価であった。紙は貴重品で、庶民の子供の遊びに使えるようなものではなかった。
2)子供が遊ぶには難し過ぎる。どこで始まり、どのようにコマを進め、どこが上がりかわからない双六もある。
3)内容が高度なものや色っぽいものもある。漢字も多く、学問的素養が求められる。
4)絵双六は残っていてもコマは殆ど残っていない。

こう考えると絵双六は、大人の読み物であり、新聞であり、庭訓的な(教育的な)テキストであったといえるでしょうね。」

・・・この見解には筆者もおおいに賛同いたします。当時の多色木版摺りの技術は、世界最高であり、多コマ割りした絵双六は、浮世絵以上の企画力・アイデアと彫りの技術と摺りの技術を要したものでした。マニュファクチュアの典型的でもある絵双六は、爛熟した江戸の大人文化の産物だったと思います。ハイ。

袋絵
これが双六の袋絵

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