制作 案:編集局 画:河畑義一 / 少女画報 1月号(東京社)
/ サイズ(cm) 縦47×横65 この双六は面白い。女性の職業に対する当時の価値観が表れているのだが、現在からみればどこか可笑しいのだ。
双六の下段には、七五調の解説文がある。全文引用してみる。 「赤、白、青や、紫の、色とりどりの花々は、少女の胸に咲き出づる。例へば静かな池の縁、揺れるともなき水仙は、道を迷うた巡礼の、うつむき勝の心根か。下町娘の身だしなみ、きちんと合わせた半襟は藤むらさき淑やかさ、知らぬ世間に働いて、憂ひ顔なる給仕等は、カアネエシヨンを思はする、また奇術師のあでやかさ、人眼をうばふ指のさき、花に見立ててチュウリップ、匂ひやさしい白百合は看護婦服の清らかさ。ひそかな寺の白芙蓉、立ち寄る尼僧の胸の内、悩みは遠く消へて行く。コスモスの花なよなよと、音楽のごとふるふとき真紅な薔薇が鮮やかに、女優のごと
く笑ふ時、心はほつと救われる。田舎娘のべにつばき絵筆とる子
は菊の花、きよく優しい女学生、押葉にはさむ野の菫(すみれ)、
事務とる人の計算は、松葉牡丹のこまやかさ、このとりどりの花
の数、少女の園にかがやいて、この世ながらのパラダイス。」 振出しは、花の会のコマ。女学生達が花かごを持っている。給仕、尼僧、タイピスト、町娘、田舎娘、女優、音楽家、画家、奇術師、看護婦、事務員、巡礼等を経て、天使の舞う楽園で上がり。
花と当時の女性の職業をうまく絡めてコマが進む。巡礼も尼僧(ちょっと可愛い)も総動員で浮世離れした(?)女性職業総覧双六になっている。 |