新板世界最強双六蒐集家飛廻取材寿語録

■ 双六には生活のすべてが表現されている

 先生をこれほど魅了する双六の魅力は一体何でしょうか。これを聞いてみました。

「先ず双六の素晴らしいのは、そこでは生活のすべてとが描かれていることです。私たちの暮らしのすべてが表現されています。次には、時代時代の様子・雰囲気・心持ちのようなものが克明に記録されており、その資料性の高さは大きな価値があると思います。

 以前こんなことがありました。神戸商船大学の岸井守一教授(体育史研究)が、明治時代に輸入されて全国の小学校に広まった"スェーデン体操"について研究しておられました。しかし、この"スェーデン体操"なるもの、一体どのような体操だったのか、何も文献がなく、経験者の記憶から書き取るしかなかったそうです。そこで、岸井先生も絵双六に注目され、その論文を完成されました。そこには、"スェーデン体操"がコマごとに詳細に図示してあったからです。

 また、武士の甲冑のつけ方を克明に説明した幕末の双六もありますよ。江戸時代の泰平が黒船来航で一気に崩壊し、すわ戦乱かという時代になったものの平和ボケした武士は、もはや甲冑の着用の仕方がわからない。そこで、男子が褌一つになった状態から甲冑をつけて武装するまでを絵解き双六でわかりやすく説明しています。これなども貴重な資料なんですよ。これらは、庶民の歴史の一断面が双六に記録されていたを示す事例です。」

・・・先生所蔵の5300枚の双六には、まだまだ多くの謎が秘められていそうです。ディズニーランドやUSJよりよっぽど面白い。この知の森をゆっくりとゆっくりと歩んでみたいものです。

 
知の森「翔奉庵」の部屋

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