《鳥盡初音寿語六(とりつくしはつねすごろく)読み下し講座》
婿とり
読み下し文
「チョイとお母さん、起きてよ、わたくしはお婿さんの来るのが 誠に▲
嫌だわ、そのかわりかわり唐の空模様を取りましたよ、それにいちくづしのおあし縮緬も取りましたよ。
まだ日ごろ(う)の帯も取りましたよ。 まだ中ざし▲△
銀の簪も取りましたよ。下駄はえんしらうを取りましたよ。まだいろいろほしいものがあるけれど、お
父さんがとりづくしには泊まるとおいひから、モウ止しましたよ。
▲△○→段落の繋がりを表す記号 *→判別できない文字
大江戸瓦版
江戸の結婚事情について
当時の江戸は百万都市で、その規模は世界一であり、その半分は武家の人口であった。また、江戸は各藩の武士や職人・商人が集中しており、完全な男社会、つまり、 結婚においては、女性の売り手市場であったといえる。
婚礼の仲人は「分一(ぶいち)」といって、結納金の十分の一が謝礼としてもらえるので、適齢期の娘や息子を物色しては縁談を持ち込む仲人のプロも多くいた。